【親友の嘘】「お前とやるバスケ、つまんない」天の邪鬼な言葉に隠された本当の優しさ【物語】
「もう、お前とは一緒にできない」
…もし、一番の親友から突然そう告げられたら、あなたはどうしますか?
こんにちは!
あなたの心の成長を応援する、秋色です。
心配しているのに「ほっといてくれ」と突き放したり、
本当は助けてほしいのに「一人で大丈夫だ」と強がってしまったり。
そんな天の邪鬼な行動は、友情の中にも潜んでいます。
言葉のナイフは、いつだって自分を守るための盾なのかもしれない。
この記事では、固い絆で結ばれていたはずの二人の少年が、
一つの嘘によってすれ違い、そして本当の友情を取り戻すまでの物語です。
この記事を読み終える頃、
あなたはきっと、不器用にしか気持ちを伝えられない
誰かの「本当の優しさ」に気づき、胸が熱くなるはずです。

親友にまで天の邪鬼な態度とるヤツっているのかな?

いるんじゃない?
一番近い存在だからこそ、素直になれない…みたいな。

その通り。
一番大切やからこそ、言えへん本音もあるんよな。
今日は、そんな二人の男の子の、
ちょっと切なくて温かい友情の物語を覗いてみよか。
夕暮れのコートと、突然の別れ

夕焼けが練習コートの床をオレンジ色に染める。
跳ね返るボールの音と、バッシュの擦れる音だけが響く放課後。
俺、大雅(たいが)と、親友の奏(かなで)にとって、この場所は聖域だった。
「ラスト一本!」
奏の掛け声に、俺は最後の力を振り絞ってボールをゴールに叩き込む。
ネットが心地よい音を立てて揺れた。
二人でコートに大の字に寝転がり、ぜえぜえと息を切らす。
これが、俺たちの日常だった。
俺と奏は、来月に迫ったバスケのジュニア大会で優勝することを誓い合っていた。
俺たちが所属するクラブチームは無名だけど、
二人でいれば、どんな強敵にだって勝てる。本気でそう信じていた。
しかし、大会を一週間後に控えたある日、奏は突然、俺にこう告げた。
「俺、このチーム辞めるわ」
耳を疑った。
冗談だろ?そう思って笑い飛ばそうとした俺に、
奏は見たことのない冷たい視線を向けた。
「もう飽きたんだよ。
あと、前から思ってたんだけどお前とやるバスケ、つまんないわ」
その言葉は、鋭いナイフのように俺の胸に突き刺さった。
あんなに毎日、泥だらけになってボールを追いかけていたじゃないか。
つまらない?俺とやるバスケが?
怒りと悲しみがこみ上げてきて、俺は声を荒らげた。
「…ざけんなっ!大会で優勝するって約束しただろ!」
「約束…?ガキじゃあるまいし。
このチームで優勝できるわけないじゃん。…じゃあな」
そう言って背を向けた奏の肩を掴もうとしたが、その手は虚しく空を切った。
奏は一度も振り返ることなく、体育館から去っていった。
夕日が完全に沈み、コートには俺一人だけが取り残された。
床に転がったバスケットボールが、まるで笑っているかのように見えた。
約束も、誓いも、全部嘘だったのか?
俺たちの友情なんて、その程度のものだったのか?
冷たい床の上で、俺はただ、唇を噛みしめることしかできなかった。

うわ…キッツいな、この展開。
奏、どうしたんだ…。

信じてた親友にこんなこと言われたら、立ち直れないよ…。
孤独な練習と、すれ違う想い
奏がチームに来なくなってから、練習コートはひどくがらんとして見えた。
パスを出す相手も、競い合う相手もいない。
一人で繰り返すシュート練習は、ただ虚しいだけだった。
あれだけ楽しかったバスケが、今は苦痛でしかない。
そんな俺の耳に、ある噂が飛び込んできた。
「なあ、奏が最近、隣町の強豪クラブの練習に参加してるらしいぜ」
「あいつ、俺たちを捨てて、強いチームに移籍するつもりなんじゃないか?」
まさか、あの奏が?信じたくなかった。
でも、俺にあんな冷たい言葉を投げつけた奏なら、
あり得ない話ではないのかもしれない。
疑念が胸の中で黒い渦を巻き始める。
ある日の放課後、
俺はいてもたってもいられず、隣町のスポーツ用品店へ向かった。
奏がよく行くと言っていた店だ。
そして、店の前で見てしまったのだ。
強豪クラブのエースで将来有効株と有名な男と、
奏がスマホの画面を見ながら真剣な顔で話し込んでいる姿を。
(…もう、俺の知らない世界で、新しい仲間と夢を追いかけてるのか)
全身の力が抜けていくのを感じた。
奏は、俺との約束を捨てて、新しい道を選んだんだ。
俺との日々なんて、あいつにとっては過去のちっぽけな思い出でしかないんだ。
怒りよりも、どうしようもない孤独感が込み上げてきた。
俺は二人に気づかれないように、そっとその場を離れた。
街の喧騒が、やけに遠くに聞こえる。
もう、何もかもどうでもいい。
バスケなんて、大会なんて、もう辞めてしまおうか。
家に帰る気にもなれず、公園のベンチで一人、膝を抱える。
奏と二人で、ここでよくジュースを飲みながらバスケの話をした。
あの頃の時間は、もう二度と戻ってこない。
空を見上げると、厚い雲が月を隠していた。
まるで、今の俺の心みたいだ、と自嘲気味に呟いた。


そんな…。
裏切られた上に、新しい仲間と…これは辛すぎるね…。

信じたくないけど、見てしまったらもう…。
これはもうだめだろ…。
雨の夜と、一枚の診察券
大会前日。
俺は数日前の練習試合で、足を捻挫した。
無理がたたったのだろう。
医師からは「今大会の出場は諦めろ」と告げられた。
奏に裏切られ、最後の希望だった大会にも出られない。
もう、本当に何もかもが終わった。
松葉杖をつきながら、雨が降りしきる夜道を一人、とぼとぼと歩く。
冷たい雨が、容赦なく俺の体を濡らしていく。
家の明かりが見えてきた、その時だった。
傘もささずに、ずぶ濡れになった人影が俺の前に立ちはだかった。
「…奏?」
そこにいたのは、あの日以来、まともに顔も見ていなかった親友だった。
なんで、今さら。怒りが再燃し、俺は奏を突き放そうとした。
「何の用だよ!今さら俺の前に現れんな!」
しかし、奏は何も言わず、震える手で一枚の湿った紙を俺に差し出した。
それは、スポーツ専門の整形外科の、初診申込書だった。
名前の欄には、俺の名前が書かれている。

「…なんだよ、これ」
訝しむ俺に、奏は俯いたまま、ぽつりぽつりと話し始めた。
「俺…昔やった膝の古傷が、もう限界だったんだ。
医者には、これ以上バスケを続けたら、歩けなくなるかもしれないって言われた」
衝撃の告白に、俺は言葉を失った。
「お前にだけは、言えなかった。俺のせいで、お前の士気を下げたくなかった。
お前には、絶対に優勝してほしかったんだ。だから…あんな嘘をついた。
つまんないなんて、全部嘘だよ。お前とやるバスケが、俺は世界で一番好きだった」
奏の声は、雨音に混じって震えていた。
じゃあ、あの強豪クラブのエースとの話は…?
「あいつ、俺と同じ膝の怪我から復帰したんだ。
日本一だって言われてる医者を知ってて…。
お前が最近無理してるの、気づいてたから。
万が一の時、お前の夢を終わらせるわけにはいかないだろ。
だから、頭下げて、その医者の情報を教えてもらってたんだ…」
そう言って顔を上げた奏の頬を伝うのが、
雨なのか涙なのか、俺には分からなかった。

天の邪鬼な嘘の言葉の裏に隠されていたのは、
俺を想う、あまりにも不器用で、あまりにも優しい親友の姿だった。

奏…!そうだったんか…!
俺、なんて酷いことを…。

自分のことより、大雅くんの夢を…。
涙が止まらない…。
雨上がりの誓いと、二人の未来
「…馬鹿野郎」
やっとのことで絞り出した俺の言葉は、自分でも驚くほど掠れていた。
「なんで…なんで、もっと早く言ってくれないんだよ!水臭いじゃないか…!」
涙が、雨と混じり合って頬を流れる。
俺は松葉杖を放り出し、奏に殴りかからんばかりの勢いで胸ぐらを掴んだ。
奏は、なされるがままにそれを受け止める。
「…ごめん。お前にだけは、弱いところ、見せたくなかったんだよ」
照れくさそうに頭を掻く奏は、俺の知っている、いつもの奏だった。
俺たちは、お互いに不器用すぎたのだ。
相手を想うあまり、遠回りな方法でしか気持ちを伝えられなかった。
「一人で抱え込むなよ、これからは!俺たち、二人で一つだろ!」
「…ああ、そうだな」

雨は、いつの間にか上がっていた。
雲の切れ間から、綺麗な月が俺たちを照らしている。
結局、俺が大会に出ることはできなかった。
でも、そんなことはもうどうでもよかった。
失いかけたと思っていた、何よりも大切な宝物が、ちゃんとここにある。
それだけで十分だった。
後日、俺たちは二人で、奏が調べてくれた病院へ向かった。
幸い、俺の足も、奏の膝も、最新の治療を受ければ完治することが分かった。
リハビリは辛い時もあったけれど、隣にはいつも奏がいた。
奏がいたから、頑張れた。
そして一年後。
俺たちは、約束のコートに二人で立っていた。
もう、すれ違うことはない。
言葉にしなくても分かる、固い絆が俺たちの間にはあった。
天の邪鬼な態度の裏には、
言葉にできないほどの深い想いが隠されていることがある。
もしあなたの親友が、あなたにだけ冷たい言葉を投げかけるなら、
それはあなたを誰よりも信頼している証なのかもしれない。
その不器用な優しさに気づけた時、
二人の友情は、雨上がりの空のように、どこまでも澄み渡っていくはずだから。

まとめ
大切な存在だからこそ、素直になれない。
心配をかけたくないという想いが、
時として相手を突き放す言葉になってしまうことがあります。
天の邪鬼な行動は、
友情において、そんな不器用な優しさの裏返しなのかもしれません。
しかし、どんなに遠回りしても、本当の想いは必ず伝わります。
大切なのは、表面的な言葉に囚われず、
その奥にある「心」を見ようとし続けること。
そして、自分の弱さを見せる勇気を持つことです。

うぅ…奏…。僕、最高の親友を持てったんだな…。

本当に素敵な友情だね。
雨のシーンは、涙なしでは読めなかったよー。

せやろ?言葉だけがコミュニケーションやない。
時にはぶつかり、すれ違うからこそ、見える本音もある。
それこそが、友情の醍醐味なんやで。
最後にこの記事で伝えたかった想いを、
一つの歌にのせて贈ります。
あなたの心に、優しいメロディが届きますように。
Lyrics: Tsuzune(Generated by Gemini)
Music & Vocals: Suno AI
Illustration: Gemini(NanoBanana)
Video: 秋色
Starring: Tsumugi & Cocoa
すれ違う言葉の裏にある、本当の想い。
雨上がりのコートに立つ二人の未来を、歌声に乗せて描きました。
— 綴音
届けたい「ありがとう」の気持ち。
すれ違いや誤解で生まれた心のしこりも、
たった一言の「ありがとう」が、きれいに洗い流してくれる。
「ありがとう」は、こころのせんたく。
ありがとうございました。





